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目利きが語る“私の10冊” 第25回 隈研吾 レポート

2013年7月12日(金) ヒルサイドライブラリー

 「どういう人生を歩んできたのかは、本に一番表れる。何の本を読み、感激したかが、人生をまとめる時に一番いいような気がする」という言葉からスタートした今回の目利きセミナー。その言葉どおり、建築家 隈研吾さんが歩んできた道をたどる本たちをご紹介くださいました。

 高校時代に出会ったという吉田健一『ヨオロッパの世紀末』は、高度成長期における日本人の浮ついた精神性を、ヨーロッパの世紀末の文学を用いて批判しているという一冊。単なるノスタルジーではなく、非常に毒のある批判を、しかも優雅にしているところにすっかり虜になってしまったそう。高校から大学にかけ、吉田健一の著書はほとんど読み、栄養になったと言います。

 建築学科に進んだ隈さんは、建築家 原広司さんと出会い強く惹きつけられます。その原さんと一緒に行ったアフリカの集落調査でのエピソードをユーモアを交えてお話いただき、集落調査をまとめた原広司『集落への旅』と、関連図書として集落の写真集ともいえるB・ルドフスキー『建築家なしの建築』をご紹介くださいます。『集落への旅』は、ただ面白い、楽しいではなく、集落の裏に20世紀の生き方を超える何かを見ようとする、原さんの必死さが見えるいい本だそう。集落から感じたクリエイティビティや、素材の使い方、原さんの間近で過ごす中で感じたことなど、アフリカでの経験は色々な形で今に活きており、隈さんにとって大きな財産となったといいます。

 その他にも、初のご著書出版がきっかけで開催されたシンポジウムに基づきまとめたという上野千鶴子『家父長制と資本制』や、ニューヨーク滞在中に外国人とコミュニケーションをとる中で日本文化に目覚めた隈さんにとって重要な一冊となった岡倉天心『茶の本』もご紹介くださり、まさに建築家 隈研吾さんのこれまでをめぐる本がそろいました。

 また、質疑応答のなかでは、手掛けられた歌舞伎座の設計についてや、隈さんが考える未来の建築のあり方など、貴重なお話が次々と飛出し、とても充実した目利きセミナーとなりました。

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