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目利きが語る“私の10冊” 第22回 平田オリザ レポート

2012年11月12日(月) ヒルサイドカフェ

 今回のゲストはご自身についてのドキュメンタリー映画の公開や、ロボット演劇の上演、初の小説を上梓されるなど、ますます活躍の場を広げる平田オリザさんです。
 幼い頃から本に囲まれて育った平田さんが自身の人生と、そこに深く関わってきた本について語ってくださいました。

目利きが語る“私の10冊”

 幼稚園の園長先生からもらったケストナー『動物会議』から始まる平田さんの読書体験は、まず16歳から17歳にかけての自転車世界一周旅行に最初のピークを迎えます。それは人生観が決まるほどの経験であり、集中的に本と向き合えた時間でもありました。父親から旅先に送られて来る本は、その土地に関するものが多く、トーマス・マン『ブッデンブローク家の人々』もドイツで読んだといいます。坂口安吾にもその旅で出合い「青春とは暗いものである」という言葉に自らの青春を重ね『暗い青春 魔の退屈』は当時の平田さんのバイブルとなりました。

 2度目の集中的読書体験は、大学時代の韓国留学。外国語に囲まれる中で、数々の長編小説を読み、その体験が代表的スタイルである“現代口語演劇”を確立するキッカケとなったと言います。

目利きが語る“私の10冊”

 大好きな小説である夏目漱石『三四郎』は「明るいけど影がある。未完成の魅力に溢れている」といいます。日露戦争から3年後に書かれたそれは背景に国家の不安が描かれていて奥深く、作中の「亡びるね」という言葉どおり、約30年後日本は泥沼の戦争に突入します。バブル時代、劇作家としてはその恩恵を受けることのなかった平田さんの心の中には常に「亡びるね」とういう言葉があったといいます。バブル崩壊から約30年が経ち、混迷の時代を迎えている日本。今こそ、多くの若者にこの本を読んで欲しいといいます。「強いリーダーシップよりも、迷ったり、悩んだりする方が大事。そうして平衡を保っていく事が社会の健全なあり方」という平田さんの言葉が印象に残りました。

 その他にも、ロボット演劇として上演したばかりのチェーホフ『三人姉妹』などの戯曲や、後に演劇で上演した小説などを紹介してくださいました。一冊の本から社会背景を読み取り、時にそれを演劇に繋げていく平田さん。改めて本の力を強く感じることのできるセミナーでした。

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