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目利きが語る“私の10冊” 第20回 津島佑子 レポート

2012年6月5日(火) ヒルサイドライブラリー

 デビュー以来数多くの作品を発表され、近年では口承文学への関心を深め、新たな文学世界を展開しておられる作家の津島佑子さん。いわゆる少数民族や先住民族といわれる人々について、もっと親しんで欲しいという思いで選ばれたという10冊。津島さんの著書『黄金の夢の歌』にもつながる世界について語っていただきました。

津島佑子

 まずは『アイヌ神謡集』や『マナス キルギス英雄叙事詩』など私たちにはなじみの薄い口承文学の本をご紹介くださり、ご自身の口承文学との出会いや、現地での体験談を交えてお話くださいました。口承文学の本は読みにくいと思いがちです。しかし、それは “読み方の問題”と津島さんは言います。「声があり、みんなの共同体験として機能していた口承文学は、小説と同じ様に読んではつまらない。演じるものであり戯曲を読むつもりで読む」「神話の類に基礎をおいた民族の歴史として丸ごと受け止め、考古学の異物を拾うような気持ちで洗い出していく」などと読み方のこつを教えてくださり、私たちが読書の新しい世界に出会うきっかけとなりました。「これらの物語の群は、ある意味“文学のゆりかご”である」という言葉が印象に残りました。

津島佑子

 また、キルギスをはじめ先住民族の抱える問題についてもお話しくださいました。キルギスのひどい放射能汚染のことや、多くの土地がウランや石油の採掘地であり、ビジネスの犠牲になっていること、そしてそのビジネスには日本も大きく関わっていること。多くの日本人が知らなかった衝撃的な事実ばかりでした。「いいかげんこういう近代文明は終わりにしたい。異文化との共存、それに耳を傾けることが重要。興味を持って繋がっていくことが日本を良い国として維持させていく方法」と津島さんは言います。

 最後には「パラダイスはどこにもない。ただ、それに近い場所を、私たちが作っていけば良い」という力強いメッセージでセミナーは終了しました。
 震災、原発事故を経験した私たちの、これからの生き方を考えるきっかけとなる有意義な時間となりました。

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