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目利きが語る“私の10冊” 第18回 平良敬一 レポート

2012年02月15日(水) ヒルサイドライブラリー

 2月15日のゲストは、60年以上にもわたって日本建築界を牽引されてきた平良敬一さんです。建築物、建築家の紹介のみならず、歴史や社会を通して、現代の建築を語りつづけてこられた平良さん。

目利きが語る“私の10冊”平良敬一

 「残りの人生、建築雑誌の編集者ともまた違った、もっと役に立つ実践をしていきたい。ここにある本は、そういった意味で、これからに非常に関係がある10冊。そしてそれは20歳の頃にもさかのぼって――」沖縄に生まれ、教師であった父の影響から東京に暮らすことになった幼少期、時代が戦争に突入し、工場労働者として過ごした少年時代、戦後、日本共産党東大細胞に入党した大学時代――数々の体験とともに平良さんの個人史が淡々と語られます。

 そういった時代の中で、圧倒的なマルクス主義の影響を受けてきたといわれる平良さんが、「今読んでもとても力強い。道徳論という一番肝心なところも書かれている。」と真っ先に紹介してくださった著者として、フランスのマルクス主義社会学者アンリ・ルフェーブルの名が挙がります。共産党からの除名、シュルレアリストとの交流など、マルクス主義者という枠を越えたルフェーブルその人の魅力に触れながら、社会科学の分野のみならず、建築、デザイン、都市計画を専攻する人に読んでもらいたいという名著『空間の生産』、さらにはルフェーブルの理論を継承する世界中の近著へと話がおよんでいきます。

目利きが語る“私の10冊”平良敬一

 大文字の建築、美術がとりこぼしてしまいがちな、だけれども面白いものを取り上げた本として、B・ルドフスキー『驚異の工匠たち』、山田慶兒『制作する行為としての技術』が挙がります。長崎浩さん、清水博さん、中沢新一さんの著作の紹介では、科学技術が必須となる現代において、だからこそ、自然、生命、さらには宗教という言葉が指し示す領域の重要性と可能性について語られました。

 10冊の紹介ののち、最後に言いたいと平良さんがおっしゃられたこと。
「ハイデッガーも一番最後に芸術に救いを求めているんですよ。今、そういうようなことは言われなくなってきていますが、ハイデッガーはいいことを言ったと思っているんです。芸術といわれる分野において、これからもっと技術と表現というものが一体化してくるならば、そのとき芸術は世の中をも変えていけるような大きな力を持つのではないかと、そう期待しています。」

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